《不登校が意味する新たな家族の形》
不登校の問題は、近年、特に大きな関心が寄せられていますが、その影響は一人の子どもにとどまりません。明治図書出版株式会社から刊行される書籍『きょうだい不登校』は、特に兄弟姉妹に焦点を当てた初めての著作です。著者の山本りか氏は、自身が三人の子どもを持つ母として、不登校の現実を克服するための情報と体験をもとに、家族全体のあり方について考察しています。
◆ 不登校そのものの現状
文部科学省の調査によれば、2025年度の不登校児童生徒数は353,970人に達し、12年連続で増加を続けています。この厳しいデータは、私たちが直面している課題の一側面を示していますが、その影響は不登校の子ども本人だけにとどまらず、不登校の子どもの兄弟姉妹、つまり「きょうだい」にも波及していることが明らかになってきました。
多くの保護者が、「上の子が不登校になったことで、下の子もその影響を受けるのではないか」という不安を抱えていることが調査からもわかっています。しかし、これまでその現象はあまり語られてこなかったのが現実です。『きょうだい不登校』は、その名もない不安を取り上げ、家族全体が幸せに生活するための提案を行います。
◆ 不登校の「きょうだい」という現実
著者の調査によれば、不登校児童の保護者の37.7%が「きょうだいの不登校」が背景要因にあると述べています。これは、初めてこの問題に光を当てた一歩と言えるでしょう。不登校の兄弟姉妹には、隠れた負担が強いられることが多く、特に「自分だけでもしっかりしなければ」というプレッシャーを感じ、精神的に追い込まれる場面が少なくありません。
◆ 書籍『きょうだい不登校』の特長
本書の最大の特長は、著者自身が経験者であることです。実際に3人の子どもが不登校となった実体験を持つ山本氏は、リアルな視点で不登校の背景や親たちの心情に迫ります。教育界では「こうあるべき」、あるいは「これが正解」という教条が多く見られますが、本書ではそのような枠組みを外し、担うべき役割を過度に求めず、新たな視点から家族のあり方を提案しています。
特に、母親が直面する孤独感や精神的ストレスへの対処法に関する章は、読む価値があります。子どもが不登校になることで孤立してしまう母親が、少しでも自分の居場所を見つけるための具体的なステップが示されており、多くの母親にとって心の支えとなるでしょう。
◆ 秘密の共有が大切
家族がそれぞれの気持ちを軽くするためには、コミュニケーションが欠かせません。本書では、共に働きかけることで「きょうだい」がもたらす新たな日常の構築法を探ります。知識や経験の共有が、家族をより強くすることができるのです。
◆ まとめ
『きょうだい不登校』は、兄弟姉妹間の絆を強化し、家族として共に成長していくための第1歩を踏み出すための貴重な手引きとなるでしょう。実際の経験に基づく内容は、同じ悩みを持つ多くの家庭に明るい未来を示唆するものです。16ページにわたる読み応えのあるこの書籍は、読者が自分の家族にとっての「学校に行きたくない」を考えるきっかけを与えてくれることでしょう。
書誌情報
- - 書名:きょうだい不登校「学校に行きたくない」を連鎖させない家族のあり方
- - 著者:山本りか
- - 発売日:2026年8月7日(金)
- - 定価:1,870円(税込)
- - 仕様:四六判/224頁
- - ISBN:978-4-18-911420-8
- - 発行:明治図書出版株式会社