第16回〈小説 野性時代 新人賞〉の結果発表
2025年3月7日、株式会社KADOKAWAが主催する新たな文学の才能を見出すための新人賞、〈小説 野性時代 新人賞〉の選考会が行われました。この賞は2009年に設立されて以来、幅広いジャンルのエンターテインメント小説を募集し、優れたストーリーテラーを選出することに重きを置いています。
今年は564作品の応募があり、その中から最終選考に残った3作品の中で、木野寿彦(きの・としひこ)さんの「降りる人」が見事に大賞を受賞しました。木野さんは福岡県在住の41歳の作家で、受賞に伴い賞金100万円が贈られます。受賞作は2025年中にKADOKAWAから刊行予定です。
選考委員と選考結果
選考委員は、人気作家の冲方丁さん、辻村深月さん、道尾秀介さん、森見登美彦さんと豪華な顔ぶれが揃いました。彼らの厳正な審査により選ばれた大賞作品「降りる人」は、深いテーマと新しい視点を持つ作品として評価されたようです。
受賞式および祝賀パーティーは、2025年11月に都内で、他の文学賞と合同で行われる予定です。また、受賞作品の選評が掲載される「小説 野性時代」5月号は、2025年4月25日(金)に発売される予定です。
受賞作品『降りる人』の世界
「降りる人」は、三十歳の主人公宮田が鬱状態から職を辞め、生活の中で出会った「降人」という概念に焦点を当てた物語です。宮田は友人の浜野から「降人」について教わり、社会から離れていく自分を見つめ直すことになります。ある日は同僚から金を脅し取られるなど、彼の運命は波乱に満ちています。
この作品は、自己を見失った現代人に向けたメッセージが込められていると思われ、読者に深く響くことでしょう。宮田の成長と苦悩、そして「降人」という哲学的なテーマを通じて、多くの人々が共感を得ることが期待されています。
木野寿彦さんは九州大学の文学部を卒業後、工場勤務や事務職を経ながら創作活動を続けてきました。彼の経歴は、今回の作品にも影響を与えていることでしょう。
新章の始まり
〈小説 野性時代 新人賞〉は、将来性豊かな作家を発見する重要なプラットフォームです。木野さんの「降りる人」が広く読まれることで、彼自身の新たなステージが開かれることは間違いありません。今後の作品にも注目が集まります。
さらに、新人賞というだけあり、ここから生まれる新たな才能や作品は、読者に新鮮な感動を届けてくれることでしょう。木野さんをはじめとする受賞者からの目の離せない活躍に期待が高まります。