新作オペラ『ナターシャ』
2025-07-09 12:41:35

新作オペラ『ナターシャ』の創作過程を探るトークイベントレポート

新作オペラ『ナターシャ』創作の舞台裏



2023年、東京・新国立劇場にて新作オペラ『ナターシャ』の創作過程について語るトークイベントが行われました。台本を手掛けた作家多和田葉子と、司会を務めた松永美穂の対話を通じて、オペラの背景や多和田さんの文創時期について深い理解が得られる貴重な時間となりました。

トークイベントの登壇者


多和田葉子さんは国際的に活動する作家であり、詩人としても名高い存在です。松永美穂さんは翻訳家であり、早稲田大学の教授としても知られています。彼女らの長年の親交もイベントの魅力の一部です。トークは、多和田さんが初めて戯曲を執筆した経歴やドイツでの活動にまで及び、演劇やオペラ創作に対する彼女の情熱と独自の視点が伝わりました。

文学と戯曲の融合


多和田さんは、高校時代には戯曲を作成し、有志の劇団で上演した経験があります。その作品は詩的な要素があり、物語よりも言葉の響きが優先されるものでした。ドイツでのデビュー後も、彼女の劇作りは多様な形式で展開され、言語の壁を越える作品も数多く生み出しています。特に、言葉の多様性を取り入れた戯曲『Till』についてのエピソードは多くの笑いを誘いました。

オペラ『ナターシャ』の誕生


『ナターシャ』の創作は、世界がコロナウイルスに直面する中で始まりました。多和田は、一人のウクライナ女性と日本人男性の出会いを描くこの物語が、運命的な災害から逃れ、互いに言葉が通じないまま交流を深める様子を表現しようとしました。二人の背景には、チェルノブイリ事故や福島原発の災害が影を落とし、実際の歴史と重なる部分も見受けられます。

このオペラは多言語の要素を取り入れ、ウクライナ語、ドイツ語、日本語など、多文化の響きが舞台に生かされています。特に、言葉が通じない二人の会話がどう進化していくのか、そのプロセスがどのように音楽として表現されるかについての期待感が広がります。

音楽家との協力


細川俊夫とのコラボレーションでは、作家と作曲家という異なる視点からの共同制作が行われ、多和田さんは細川の音楽的アプローチに心を奪われている様子が見られました。音楽における「静寂」の重要性など、視覚や聴覚に訴えるアプローチが、彼女の文学的な視点と融合していることが明らかになりました。

最後に


このトークイベントは、多和田さんと松永さんの対話を通じて、オペラ『ナターシャ』の奥深い背景やテーマを考察する貴重な機会となったのは間違いありません。新国立劇場でのオペラ初演を前に、多くの観客がこのお話に惹かれ、創作に込められた思いを深く理解することができるでしょう。イベントの模様は、YouTubeで期間限定で視聴可能です。


画像1

画像2

画像3

画像4

画像5

画像6

画像7

画像8

画像9

画像10

関連リンク

サードペディア百科事典: 多和田葉子 細川俊夫 ナターシャ

トピックス(映画)

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。