間宮改衣が描く家族との再生　新作『弔いのひ』が野間文芸新人賞候補に

間宮改衣が新作『弔いのひ』で再び注目を集める

作家の間宮改衣が、彼女の新作『弔いのひ』で、野間文芸新人賞の候補作に選出された。この作品は、彼女がデビュー作『ここはすべての夜明け前』で得た名声に続く、重要な一歩となる。特に『ここはすべての夜明け前』が記憶に新しい読者にとって、この再生作は大変興味深い。

『弔いのひ』は、間宮自身の過去と向き合った作品であり、彼女の家族との関係を赤裸々に描いている。物語は、娘と心を通わせることができなかった父親の死を受けた娘の苦闘を通じて、彼女自身の内面的な葛藤をも明らかにしている。父とのコミュニケーションが取れなかったまま病に倒れた父親への思いが、この作品に深い感情をもたらしている。

彼女はデビュー翌年には三島賞候補にも名を連ね、その才能が決して偶然でないことを証明した。しかし、その華やかな成功の裏側には、深刻な鬱状態があった。作家としての成功の影には、期待とプレッシャー、そして自分自身との闘いがあったのである。

ある日、別の作品の執筆を依頼され、打ち合わせの中でようやく口にしたのは、コロナ禍のさなかに亡くなった父のことだった。すると、自然と彼女は「私小説」の世界への扉を開くことになった。父との関係や自分の人生を直視することは簡単ではなかったが、彼女にとって新しい道が始まった瞬間だった。

間宮がこの作品で描いているのは、自身が抱えていた痛みや葛藤である。過去との和解、そして家族との再生がテーマとして通底しており、読者に強烈なメッセージを届ける作品となっている。彼女は「私小説」に取り組むことで、家族に対する思いや自分自身の人生の意義を見出そうとしている。『弔いのひ』は、著者の心の奥底からの叫びとも言える。

この作品が「新潮」の2025年8月号に掲載された際、間宮は再び多くの読者にその存在を知らしめることができるだろう。きっとこの作品が、彼女の将来においてさらなる飛躍するための足掛かりとなるに違いない。

著者紹介

間宮改衣（まみや・かい）は、1992年に大分県に生まれた作家で、2023年にはデビュー作『ここはすべての夜明け前』で第11回ハヤカワSFコンテスト特別賞を受賞。その後、多くの読者からの支持を受け、2025年には新作『弔いのひ』の発売を控えている。

『弔いのひ』は、2025年12月17日に単行本として発売予定であり、おそらく新たな飛躍を遂げる作品となるだろう。現時点ではまだ価格が未定で、ISBNは978-4-10-355732-6となっている。間宮の新たな挑戦がどのような反響を呼ぶのか、大きな期待が寄せられている。