『正しすぎた人広岡達朗がスワローズで見た夢』著者:長谷川晶一
株式会社文藝春秋から2025年12月8日(金)に刊行される新刊『正しすぎた人広岡達朗がスワローズで見た夢』が、予約殺到の反響を受けて初版が重版されることが決定しました。本書では、73年のキャリアを経て93歳となった広岡達朗の生涯と、その哲学、そして彼が愛したチーム、ヤクルトスワローズへの情熱を深く掘り下げます。
広岡達朗は1978年にスワローズを球団史上初の日本一に導いた名将として知られ、彼の厳格な「管理野球」が一時代を築きました。だが、その栄光の裏には、数々の葛藤や苦悩が隠されていました。なぜ広岡は日本一の栄光の翌年に球団を去ることになったのか?その真相に迫ることが、本書の最大のテーマのひとつです。
著者の長谷川晶一は、3年間にわたる広岡への取材を通じて、彼の考えや感情、そして「老害」という評価への複雑な思いを明らかにします。特に、今なお炎上を巻き起こす彼の発言や、周囲からの批判について、広岡がどのように捉えているのかを知ることができる貴重な機会が提供されています。
本書は、広岡の周りにいた多くの人々へのインタビューを通じて構成されています。スワローズのOBである若松勉や松岡弘、八重樫幸雄など、関係者たちの証言を交えながら、好きなものを守りながらも、不安を抱え年を重ねる広岡の姿が描かれています。また、愛娘の祥子さんとの対話も、読者にとって心に響くエピソードとして展開されます。
この作品で際立つのは、広岡の「正しさ」を貫き通す姿勢です。「冷徹な監督」としての評価にもかかわらず、彼は自身の信じる道を進むことで、多くの敵を作ってきました。そんな彼の背後に隠された人間味あふれる素顔が、長谷川によって丁寧に描かれています。
発売前から多くの反響を呼んだ本書の注目ポイントは、昭和の野球人たちの広岡評を載せた書籍の帯裏です。これは、広岡が野球界に与えた影響や彼がどのように受け止められているのかを、過去の名選手たちの視点から考察できる貴重な部分となっています。
長谷川晶一は、多くの書籍を手がけた実力派のノンフィクションライターであり、本作には自身の信念が色濃く反映されています。読者にとって、広岡達朗という一人の人間を深く知ることのできる、感動的で教訓的な作品であると言えるでしょう。
広岡本人、また彼を取り巻く人々の証言を通じて、球団の栄光と挫折、彼の歩みのすべてがオープンに語られています。どうか多くの人にこの書籍を手に取っていただき、広岡達朗の魅力、そして野球の奥深さを感じてもらえたらと思います。