地方創生への企業の関心と取り組みの現状・課題

地方創生への企業の関心と取り組みの現状

株式会社月刊総務が実施した全国の総務担当者154名を対象にした「地方創生に関する調査」で、企業の地方創生に対する関心が高まっている実態が浮き彫りになりました。調査結果によると、6割以上の企業が地方創生に対して高い関心を示していますが、実際に取り組んでいる企業は33.7%のみにとどまっていることが示されています。関心と実際の行動との間には明確なギャップが存在することがわかりました。

企業の関心は高いが実行には課題

調査では、地方創生に関心がある企業の内訳は、「とても関心がある」が24.7%、「やや関心がある」が37.7%で、合計62.4%の企業が関心を抱いています。この傾向は大変喜ばしいものですが、実際に取り組んでいる企業は33.7%、つまり約3割強にとどまるという結果は、関心があっても行動に移すことができていない企業が多いことを示しています。

実際の取り組み内容としては、「地域の企業・団体との連携事業」が55.8%で最も多く、次いで「地元人材の採用・育成」が46.2%、「地域のイベント・教育活動への協賛」が42.3%と続いています。このように、地方の企業や団体と関わることが主要な活動として進められている一方で、関心と実施のギャップが存在しています。

地方創生への取り組み理由

地方創生に積極的に取り組む企業が重視している理由は、最も多いもので「地域課題の解決による社会貢献」が69.2%です。その後は「企業のブランド価値向上」が44.2%、「地方人材の採用・育成」が38.5%と続きます。このように、企業の社会的責任（CSR）としての側面が強調されており、地域への貢献が企業にとってのプラスになるという意識が芽生えていることが伺えます。

実際に取り組みを通して得られた変化としては、「地域の現状、ニーズを知ることができた」「外部からの評価が高まった」といった声も多く上がっています。社員が地域とのつながりを意識し、積極的に行動を起こす環境が整っていることは、企業の成長にとって良い影響を及ぼすことでしょう。

取り組まない理由と課題

一方、地方創生に取り組んでいない企業には、まず「リソース不足」が多くの理由の中で約30%を占めています。また、自社に関係が薄いと感じている企業も28.4%、経営層の理解が低いことが原因という企業も27.5%と続き、構造的な問題が存在しています。さらに、地方創生の取り組みを進める上での課題として、成果が見えづらいことが55.2%の企業によって挙げられています。これは企業が地方創生に取り組む過程での大きな障害となっています。

今後の展望

今後が期待されるのは、地方創生を企業戦略として組み込むことで、地域との関係を明確にし、持続可能なビジネスモデルを構築していくことです。総務部門が一過性のCSR活動でなく、地域との共生を目指した持続的な取り組みを推進することが、企業のブランド価値向上にも寄与するはずです。貧困や人口減少などの地域課題を解決する過程での連携が進むことで、企業の成長と地域の発展が同時に実現できることが求められます。