角川春樹の全貌を描いた記念碑的ノンフィクションが登場
2025年3月6日、河出書房新社から新たに文庫版『完全版 最後の角川春樹』が発売されます。著者の伊藤彰彦氏が描いたこの作品は、戦後最大の出版人と称される角川春樹氏の破天荒な人生を丹念に追った力作です。前作『最後の角川春樹』(2021)を大幅に改稿・加筆し、文庫として新たに生まれ変わりました。
角川春樹氏は、出版人でありながら、その自身の人生自体がひとつの物語となっている稀有な存在です。本書では、彼の多面的な姿を様々なエピソードを通じて紹介しています。
角川春樹の多面的な魅力
1. 業界を変革した風雲児
角川氏は既存の出版界や映画界から反感を買いながらも、メディアミックス商法で革新をもたらしました。書籍と映像の相乗効果を駆使し、傑出したヒット作を生み出したことは彼の革命的なアプローチを物語っています。
2. 文庫文化の創造
翻訳文庫を設立し、日本の文庫文化を支える基盤を築きました。大藪春彦や森村誠一など、数々のミリオンセラーを生み出した名編集者としても知られています。
3. 複雑な家族関係
父・源義との激しい闘争を経て、様々な雑誌を次々と刊行していったその裏には、角川一族の複雑さも存在します。本書では、姉辺見じゅんや弟角川歴彦との関係性も掘り下げられています。
新たなインタビューで深まる角川春樹像
文庫版では、伊藤氏自身が新たに行った5時間に及ぶインタビューに加え、さらに多くの関係者への取材が加わっています。例えば、アニメ界の巨匠・りんたろう氏や、多くの映画関連者、さらには政治家たちにまで話を聞いています。これにより、角川春樹氏の幅広い影響力が明らかにされています。
理念と現代への影響
本書では特に注目すべきテーマとして、角川氏の「街の本屋を守る」運動や、角川一族が直面するさまざまな問題が取り上げられています。また、心身の健康を問われる大病を経た角川氏の心象風景についても描写されています。
文化的意義と総力戦
『完全版 最後の角川春樹』は、ただの評伝にとどまらず、戦後の文化論としても新たな意義を持つ作品となることでしょう。これを通じて、角川春樹氏という人物がいかに日本文化に影響を及ぼしてきたかが理解されるでしょう。
この記念碑的な一冊は、ノンフィクションとしての完成度が極めて高く、歴史的な視点からも貴重な資料となるはずです。出版業界、映画界に興味がある方々は、ぜひ手に取っていただきたい作品となっています。
書籍情報
- - 著者: 伊藤彰彦
- - 書名: 完全版 最後の角川春樹
- - 仕様: 文庫判/472ページ
- - 発売日: 2025年3月6日
- - 税込定価: 1,430円
- - ISBN: 978-4-309-42176-6
- - URL: 河出書房新社
角川春樹という名前を今一度思い起こし、彼の魅力に迫るこの作品に、ご期待ください!