新生『殿様と私』が松本で開演
2025年2月13日(木)から16日(日)まで、まつもと市民芸術館にてマキノノゾミが手がける新作戯曲『殿様と私』が上演されます。この作品は、2007年に初演された人気作品で、ミュージカル映画『王様を私』を基にし、日本の明治時代を舞台にしています。
物語の背景とキャラクター
物語は、明治19年に位置しており、急速に進行する西洋化に対して適応できない「殿様」、白河義晃とその家令の雛田の奮闘を描いています。升毅が演じる義晃は、時代の流れに置いて行かれた頑固な殿様で、特に家令・雛田との掛け合いが笑いを誘います。この物語は、単に喜劇であるだけでなく、時代の変化に直面する人々の内面的な葛藤をも描写しています。
義晃が興味を持つのは、息子・義知の提案であり、彼は復讐のために刀を用いるのではなく、ダンスを通じて立ち向かうことを決意します。息子の義知を演じる久保田秀敏は、現代的な視点を持つ賢い青年として、父親の古い価値観との対立を描いています。彼の妹・雪絵もまた、成長を見せる重要なキャラクターであり、成長するにつれて新しい価値観を吸収していく姿が胸を打ちます。
また、アメリカ人女性のアンナ(水夏希)がダンスの指導を行う役割を果たすことで、異文化間のダンスと。同時に、言語、文化の違いが生む面白さと戸惑いも見どころです。彼女のキャラクターは魅力的で、師匠としての威厳だけでなく、彼女自身の可愛らしさも引き立ちます。
スタッフとキャストの魅力
マキノノゾミが演出を務める今回の舞台は、彼自身の過去の経験を基にしており、松本という街での制作過程が特に印象的です。松本の美しさを感じながら、彼はキャストとともに新しいインスピレーションを得て稽古を行ってきたと語ります。その中で、特にキャスト陣の個性的な演技も必見です。特に松村武、喜多アレクサンダー、水野あやなど、実力派が揃い、彼らの演技はそれぞれのキャラクターに深みを与えています。
作品の重要なテーマ
本作には、文化の相違に対する驚きや誤解が織り込まれており、言語の壁を乗り越えるための努力が描かれています。観客は、彼らが日本語でセリフを交換しつつも、英語でのコミュニケーションも感じ取る巧みな演出に感動します。この点が特に観客に注目されているところで、時代の変化に直面する人々の物語として多くの共鳴を呼ぶことでしょう。
未来へのメッセージ
『殿様と私』は、古い価値観と新しい文化の融合、一つの時代の終わりと次のスタートを描いた物語として評価されるべきです。観客はこの舞台を通じて、変わりゆく世界にどう向き合うか、自身の在り方についても考えさせられることでしょう。
最後に、マキノノゾミはこの作品が「大らかに笑えて泣けるものになる」と語り、観客を温かく迎えるスタイルが強調されています。この作品は、松本での舞台を皮切りに、他の都市でも巡演予定ですので、ぜひ劇場でその魅力を体験してみてください!