額賀澪の最新作『願わくば海の底で』がついに登場
実力派作家の額賀澪が手がけた新しい青春小説『願わくば海の底で』が、2023年2月19日に刊行されました。この作品は、東北地方の高校を舞台にした連作短編集で、主人公の青年「菅原晋也」を中心に、さまざまな視点から描かれる物語です。作品の背景には、2011年の震災があり、登場人物たちが日々の中で喪失感を抱きながらも前に進もうとする姿が描かれています。
本作のテーマと印象
額賀澪の筆致は、まるで青春の淡い思い出を呼び覚ますかのよう。物語は、菅原が抱える「大切なものを失ってしまう」というジレンマを見事に表現しています。この青年は、自らの選択や行動によって、人間関係や自らの人生に影響を及ぼします。「あの日」に何が起こったのか、そのことに思いを馳せる姿勢は、読者にとっても身近なものであり、感情移入を促します。
全国から集まった先行読者の声も、多くの感動を呼び起こしています。仙台市立加茂中学校のM・Kさんは、「震災の記憶のない若い世代にぜひ読んでほしい」と述べ、青い火の玉やプールサイドの出来事を通じて、震災の影響を丁寧に描写した点を評価しています。
埼玉県立浦和第一女子高等学校のM・Aさんは、作品を読み終えた後に「人は祈ることをやめられない」という思いを深め、読後の反響の強さを感じています。群馬県立盲学校の生徒も、驚きの結末に心を打たれ、震災の影響がいかに私たちの記憶に刻まれているかを考えさせられたことでしょう。
読者の心に響くコメント
この作品に寄せられた感想の中には、多くの共感が溢れています。共立女子中学校のM・Yさんは、自分自身の「だめな部分」を受け入れながら生きる姿勢が描かれていることに触れ、こうしたテーマを通じて少し前向きになれたと喜びを表現しました。東京都立六本木高等学校のR・Sさんは、感情の原点に触れ、「あの日」の悲劇が人の心に与える影響を再認識したとのこと。
書店員からの熱い視線も
また、書店員からも高評価が寄せられています。彼らが語るのは、数字では表せない「生きた証」としての物語の重要性です。WEB東京創元社マガジンにおいても、書店員の感想や書影が公開されているなど、話題を呼んでいます。
最後に
震災から学ぶこと、感じること、思いを馳せること。額賀澪の『願わくば海の底で』は、ただのフィクションにとどまらず、実際に起きた悲劇に向き合い、私たちが何を忘れてはいけないかを問いかけています。ぜひこの機会に手に取って、心の中の何かを感じ取ってみてはいかがでしょうか。大切なものが、どんな形で存在するのかを再確認するきっかけとなることでしょう。