日本文学を代表する作品『であすす』の全貌
出会い系サイトでの挑戦
花田菜々子氏が手掛けた『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』、略して『であすす』は、書店に勤務する彼女自身の実体験をもとにしたノンフィクション作品です。この本は、2018年に初めて刊行され、2020年には河出文庫から再出発、さらには2021年にはテレビドラマ化され、幅広い層に評価されるまでに至りました。
作品の主人公は33歳の菜々子。彼女は東京都内の大手書店で働きながら、出会い系サイトに登録し、70人もの初対面の人々に対して、それぞれにぴったりの本を推薦するというユニークな取り組みを始めます。彼女の過去や職業の背景、個性豊かな出会いが描かれ、時に笑い、時に感動するさまは、多くの読者の心をつかんでいます。
日本から海外へ、ブームが広がる
『であすす』の凄さはその作品としての魅力だけでなく、世界的な人気の広がりにもあります。この作品は、これまで世界12か国・地域に翻訳され、話題を呼んでいます。2024年にはイギリス版『The Bookshop Woman』が公開され、たった1年で25,000部を売り上げるベストセラーへと成長しました。これによって、世界累計発行部数は13万部を突破。
英ガーディアン紙が特集する日本文学の好評を背景に、この作品の人気も急上昇しています。特に、イギリス国内での販売された翻訳小説の約43%を日本文学が占めるという驚きのデータも発表されています。この潮流を受けて、『であすす』はさらに注目を集めることとなりました。
読者の心を掴む理由
この作品が多くの読者から支持を受ける背景には、リアルな人間関係が描かれていることや、個性的な登場人物たちとのふれあいがあります。菜々子が本へ寄せる愛情と、彼女自身が「自分は何を求めているのか」を問う姿は、多くの読者に共感を呼び起こします。また、作品を通じて別れや失恋から再生を遂げた女性の成長物語が描かれており、本の力を借りて自分を見つめ直すというテーマも大きな魅力です。
書店員にも影響を与える文学
『であすす』の影響は、一般読者にとどまらず、書店員にも広がっています。新宿のBOOK COMPASS NEWoManに勤める成生隆倫氏は、「この本と出会っていなければ、俺は書店員になっていなかった」と手書きポスターで店頭に熱意を伝え、販売数は450冊を超えるという驚異的な結果を残しています。このように、作品が書店員の人生にも影響を与えている事例は、新たな著作物の持つ力を証明しています。
終わりに
花田菜々子の『であすす』は、ただの書籍を超え、様々な人々の人生に寄り添う作品です。出会い系サイトを通じての独自の視点、個性豊かな登場人物の描写、そして本への深い愛情が詰まったこの書籍は、今後も日本文学の中で光り輝き続けることでしょう。興味を持たれた方は、ぜひ手に取ってみてください。