三島由紀夫生誕百周年記念の舞台が開幕
2023年12月11日、三島由紀夫の生誕百周年を記念して、彼の名作『わが友ヒットラー』と朗読劇『近代能楽集』の同時上演が新国立劇場小劇場にてスタートしました。この特別な公演では、三島が描く人間の本質というテーマが見事に表現されています。
作品の概要
『わが友ヒットラー』
演出を担当した松森望宏氏は、この作品を現代の視点から再解釈し、観客に強烈な印象を与えています。ストレートプレイとして上演されるこの作品は、1934年に起きたナチス党内の権力闘争「長いナイフの夜」を題材にしており、主人公ヒットラーが親友エルンスト・レームを粛清しなくてはならないというジレンマを描いています。
この作品では、独裁者の孤独や友情の脆さ、さらには政治的な革命の必然的な崩壊が鋭く表現されています。出演者には谷佳樹さん(アドルフ・ヒットラー役)、小松準弥さん(エルンスト・レーム役)、小西成弥さん(グレゴール・シュトラッサー役)、森田順平さん(グスタフ・クルップ役)と個性的なキャストが揃っています。
朗読劇『近代能楽集』
一方、朗読劇『近代能楽集』では、三島が描く独特な美学と痛烈な人間の情熱が伝えられます。この朗読劇では、「弱法師」「卒塔婆小町」「班女」の三作品が取り扱われています。これらの作品は戦後の日本を背景に、孤独、愛、欲望、理性の葛藤を深く掘り下げています。
豪華な声優陣が回替わりで登場するこの朗読劇は、聴覚を刺激し、観客の想像力を喚起します。特に、蒼井翔太さんや市川蒼さん、高橋ひとみさんらが持つ柔らかな声色が、各キャラクターに深みを与えています。
上演の詳細
公演は12月21日まで続き、アフタートークイベントも予定されています。特に、出演者が登壇するアフタートークでは、舞台をさらに深く理解できる貴重な機会となるでしょう。初日を迎えた『わが友ヒットラー』について、出演者たちのコメントも寄せられています。
「この作品に向き合う中で、自分の環境や価値観も変わり、まるで新たな作品のように感じました。」
「劇場での新しい感覚をお客様と共有できるのが楽しみです。」
「今回の再演は、前回よりも一層深いものに仕上がっていると感じています。」
「千秋楽まで全力で取り組んでいきます。」
「三島の問いかけには、現代への強いメッセージが込められています。是非一緒にこの瞬間を楽しみましょう。」
最後に
三島由紀夫の作品には常に人間の本質への鋭い洞察が込められています。今回の同時公演は、彼の作品に触れ直す素晴らしい機会です。生誕百周年という特別な年に、彼の深い洞察に触れ、もしかしたら新たな発見を得られるかもしれません。
さらに詳しい情報は公式Webサイトで確認できます。これからの公演後のアフタートークや新国立劇場の雰囲気も合わせて楽しんでいただければと思います。