日韓国交正常化60周年を祝う新著「誠信交隣」
2025年に日韓国交正常化60周年を迎えるにあたり、朴喆煕(パク・チョルヒ)氏による新書『誠信交隣元駐日韓国大使が東アジアの未来を読む』が10月29日に発行されることが発表されました。著者は、韓国を代表する国際政治学者であり、日本語にも堪能な学者です。この新著は、東京新聞と中日新聞に連載されていた大型コラムを基にした内容で、日韓関係の今後を展望するものです。
書名に込められた願い
書名の「誠信交隣」という言葉は、江戸時代の儒学者雨森芳洲の教えを引き継ぎ、隣国との誠実な関係構築の重要性を訴えています。1965年の「日韓基本条約」によって国交が正常化されたとはいえ、両国の歴史には複雑な積み重ねが存在します。著者は過去を振り返りつつ、未来に向けた新たな関係性の可能性を模索しています。
歴史を乗り越える道
日韓関係は、長い歴史の中で様々な悲劇的な出来事に影響されています。特に、1910年から1945年までの日本の植民地統治は、韓国に深い傷を残しました。戦後も経てきたさまざまな歴史の問題、例えば竹島問題や元徴用工、慰安婦問題などは、両国の関係を困難にしてきました。しかし、著者はそれらの困難を乗り越える新たな視点が求められていると強調しています。
現状の関係性を見つめる
一方で、現在の日本と韓国は共に議会制民主主義を持ち、重要な貿易相手国でもあります。最近では、人的往来が増加し、韓国のドラマや音楽が日本でも人気を博し、お互いの文化がますます浸透しています。日韓関係は、一時の低迷期を脱し、関係が深まっていると、本書では評価されています。
多角的視点からの分析
本書は全4章から構成されており、韓日国交正常化の歴史的背景や、北朝鮮を巡る諸情勢、東アジアの全体像を俯瞰する内容が展開されています。また、著者の講演内容も採録されており、深い洞察が感じられます。特に、旧知の多い日本の政治界における視点を大切にし、両国の理解を深める内容となっています。
未来を見据えた一冊
朴氏自身は、2024年から2025年にかけて駐日韓国大使を務め、両国の交流促進に尽力することが期待されます。そのため、本書は現状を整理しつつ、前向きな展望を提示するために書かれています。「近くて遠い隣国」と言われる韓国を「近くて近い隣国」とするために、本書を通じて新たな視点を得ることができるでしょう。
書誌情報
- - 発売日:2025年10月29日
- - 仕様:四六判並製292ページ
- - 価格:2,200円(本体2,000円+税)
- - ISBN:978-4-8062-0834-1
- - 発行元:中日新聞社
このように、日韓両国の未来に向けて期待を寄せながら読者に届けられる本書。是非手に取って、豊かなヒントを得てください。